制御方式と操作ハンドル
標準形はバランス、上昇、下降の3つの機能をもったA形ですが、用途・使い勝手に応じて次のタイプがあります。
■はじめに
バランス状態とは、吊上げた品物に手をかけて軽く上下運動ができ、また 上・下させて位置で手を離してもその位置で静止することをいいます。エアーの圧縮性を利用しただけで、品物を上下させても、手を離せば元の位置にもどるものは単なるエアーホイストであり、レバー操作だけでのみ上・下できるものもホイスト(又はリフティング)でありバランサとはいえません。「ミヤケエアバランサ」は全てバランサであります。ここに種々のバランス形態をご説明し、皆さまの使い勝手の良いタイプを選択できる様にしております。
1.A形(オールロード)・・・標準形
このタイプは治具や品物の重量が、吊上げる度に変わる場合に最適でもっとも汎用的な制御方式です。
バランス機能と昇降機能の両機能を持たせたタイプで、操作ハンドルには上昇レバー、下降レバー及びバランスレバーがついています(バランスアームは操作ボックスに上昇、下降押釦及びバランス切替スイッチ)。
■品物の重量は昇降動作停止後、バランスレバーをバランスにするとただちに自動検地され、又制御部に記憶されるため、あらゆる重量の品物に対してもバランスでき、重量の変化による調整はまったく不要ですが、吊上げたままの状態で品物の重量が変わる場合は記憶重量と品物の重量が変わりますので、勝手に昇降動作を始めます。この場合は上・下ハンドルでいま一度昇降動作を行い停止させて記憶をやり直してください。
2.AA形(オート)
A形と全く同じ機能を持っていますが、バランス切替装置を自動化し、操作を簡略化したものです。
■バランスのやり方はA形と同一ですが、バランスレバー(切替スイッチ)がなく自動的にバランス状態になる点のみ異なります。但しタイマーが作動する迄の2秒ほどの待時間が生じます。又、吊上げたままの状態で品物の重量が変わる場合もA形と同様に昇降動作を始めます。
3.BM形(ダブルメガ)
量産ラインなどで同じ重量の品物を短時間で繰り返しハンドリングする場合に、このタイプが最も効果的です。バランス機能のみを持ったもので治具(治具バランス)と治具と品物(負荷バランス)を吊上げた場合の2つの重量にバランスします。操作ハンドルには負荷バランスと治具バランスへの切替スイッチがついています。
■バランス状態では治具或いは負荷のいずれもわずかの力で動かせます。又動かしたらどの位置でもバランス状態を保ちます。あらかじめ「治具」の重量、及び「治具+品物」の重量にバランスするよう調整します。2つの重量が変わらなければそのままスイッチの切換えにより操作ができます。品物或いは治具の重量が変わる場合には、その都度治具・負荷切換えボリュームで各々の重量に調整する必要があります。図-3の如く操作ハンドルは治具の負荷の切換スイッチのみで、重量調整ボリュームは制御ユニットに付いています。
4.BV形(ダブルバキューム)
※都度見積品で標準形ではありません。
バキュームパッド(ゴムの吸盤)を使用する場合、バキュームパッドで品物を吸着し、同重量のものを繰り返しハンドリングする場合に効果的です。BM形と同じ機能を持つもので品物の吊上げをバキュームパッドを使った吸着方法で行うものです。操作ハンドルの治具バランスと負荷バランスの切換スイッチで自動的に吸脱します。
■品物と治具又は治具をいずれもわずかの力で動かせ、どの位置でもバランス状態を保ちます。品物又は治具の重量が変わるとその都度調整が必要です。
■品物を吊上げたまま中空に停止した状態で治具バランスにすると、バランサは治具のみ重量のバランスに切替りますので吊品物は降下しますのでご注意ください。 注)真空吸着はエゼクタ式又は真空ポンプ式です。
5.AV形(オールロードブイ)
※都度見積品で標準形ではありません。
重量が頻繁に異なる品物の吸着ハンドリングに使用されます。A形操作ハンドル(上昇・下降・バランス)と吸着、脱荷用のバキューム操作ハンドルがついています。パッドを品物に当て、バキューム切換えスイッチを吸着にしゲージの目視で吸着確認後A形操作ハンドルでバランスを操作します。一方下降レバー操作で着地の後、バキューム切換スイッチを脱にするとエアーを吹き吸着を放します。品物を吊上げている状態でバキューム切換えスイッチを脱にしても品物を放しません。但し、最大吊上げ荷重に対し、吸着治具は35%以下、吸着治具と品物を合わせた重量は50%以上とします。
6.AT形(オールロードツール)
※都度見積品で標準形ではありません。
治具の重量が変わらずも品物の重量が頻繁に異なるラインでのハンドリングに効果的です。
A形の機能(上昇・下降・バランス)に加え、治具を均合い支持する機能を持たせたものです。下降レバー操作で品物を着地させ、このレバーを放すと、まえもって設定された空気圧が働き治具上方のタルミがとれその位置で治具重量が支持されます。
7.DL形(ダウンロックシリンダ形に限る)
※都度見積品で標準形ではありません。
施盤のチャックや電線のボビン等横軸に固定されているものの取外しに便利です。通常横づかみの物をエア機器で取付、取外しを行う場合、取付はエアバランサ等で楽にできますが、取外しの場合、横づかみから外した途端品物は降下しますが、ダウンロック式シリンダを使用すると落下することなくスムーズに品物の取外しができます。
■基本制御はA形(オールロード)と同様です。
■品物を通常操作で中間停止させたのちではダウンロック機能は働きませんので、間違いのない様ご注意ください。
■ダウンロック機能を使用する場合、吊治具と初期張力(吊具がたるまない様にピンとはるための力)の和が本体定格荷重の5~20%になる様にしてください。(制御ユニットにある初期張力つまみで、ゲージ圧力を0.3~1.2kgf/cm2になるよう調整ください)
8.T形(ツール)
※都度見積品で標準形ではありません。
バランス機能のみをもったものでナットランナー、リベッター溶接機などの組立作業工具を吊上げ、工具の重量に合せてボリュームにより調整すると工具はバランスします。操作部分は一切なく全てバランス状態により手でハンドリングします。 わずかの力で上下に動かすことができますので作業の迅速化、省略化などに威力を発揮します。